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龍神伝説はまだ島牧が「シマコマキ」と呼ばれていた頃の金にまつわる心温まる言い伝えです。
藩主の命を受け、狩場山付近一帯を探索していた家臣の一人、一番年下の小太郎という若者が手負いの子鹿を見つけ、そのままおいて帰る気にもなれず、子鹿を抱え皆の後をとぼとぼついていきました。しばらくして、賀老の滝にさしかかった時、子鹿が水を欲しがり一声鳴きました。
「みなさん先に帰って下さい。この子鹿に最後の水を飲ませてやりたいのです。」
すると仲間の一人が、
「おいおい、この賀老の滝には恐ろしい龍神がすんでいるという噂だ。ハッハッハ…」
と言うと小太郎を置いてさっさと里に帰ってしまいました。小太郎は、両手に滝の水をすくい小鹿に飲ませ、傷口を手当をしてあげると小鹿はにわかに元気を取り戻し、自分の足で立ち上がれるほどになりました。
「よかったね元気になって。縁があったら又あおう。」
このときの様子を龍神が密かに見ていたことを、小太郎には知る由もありませんでした。それから何年かが過ぎ、小太郎は金山奉行所を預かるまでに成長しました。その頃幕府の税の取り立ては厳しく、この上、金まで没収されてはと藩主は思案のあげく、小太郎に金をどこかに隠すように命じました。思案に暮れ隠し場所を探して賀老の滝まで来てしまった小太郎の前に、一頭の立派な鹿がスーッと現われました。
「もしやおまえはあの時の…。」
鹿は小太郎の傍らによると一声鳴き賀老の滝壷を差し示しました。
「あそこに隠せと言うのかい。しかし龍神が何というか…。」
すると突然龍神が姿を現し、小太郎に向かい低い声で、
「おまえの優しい気持ちに応えたい。わしが守ってやろう。」
と約束し、光とともに、スーッと姿を消しました。金は密かに滝壷の中に埋められました。
しかしどこから漏れたのか幕府に滝壷が捜索されることとなってしまいました。 が、家臣が滝壷に近づくと暗雲立ちこめ、龍神が姿を現し大きく吠えるとものすごい嵐が吹きあれ、大洪水を呼び襲いかかりました。家臣の者達は命辛々一目散に逃げ出しました。以来、埋蔵金を暴こうとするものは龍神の怒りに触れ、誰一人として手にすることはできなかったのです。
今でも滝壷には埋蔵金が埋められているということです。 あるべきはずの滝壷がないのは金が埋められているからだと…。そしていつの日からか、この滝は『飛龍』賀老の滝と呼ばれるようになりました。
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