葬儀考2
安心して死を迎えるために(試案)
樹木葬・正福寺 渡辺 大修
1.死を迎える不安
還暦を過ぎて、社会の第一線を退くと、老後の生活、葬送・祭祀のあり方などに想いが及びます。とりわけ子供さんが無かったり、単身生活を過ごす人にとっては、なおさらです。
そして、特に気がかりになることは、@痴呆になったら、A介護が必要になったら、B入院、終末医療、C遺産のことなどではないでしょうか。
2.死を迎えるまでの日常生活のサポート
(1)医療、介護、痴呆、入院など、また一人暮らしの不安などに対するサポートの組織・団体はいくつかできていますが、契約しようとする場合には、内容と費用を充分に検討してみる必要があります。身近で信頼して相談できるところを探してみましょう。
市民団体で、「生活・医療のなんでも相談所」の全国ネットワークをつくっている団体もあります。
(2)任意後見制度の利用
親類縁者や知人の中に、任意後見人を引き受けてくださる方が見当たらないときは、弁護士や司法書士に委任することもできます。まず、信頼できる人や市民団体に相談してみましょう。
3、死亡したとき
祭祀主宰者(喪主)の決定と相続人の確認をしてください。
(1)祭祀主宰者と相続
財産の相続と祭祀を執行する祭祀主宰者とは区別されます。財産の相続は民法の規定により、法定相続又は、遺言により相続されます。
葬儀の執行とその後の祭祀、先祖からの祭祀用具(お墓や仏壇等)は一人に受け継がれ、相続人以外でも誰でも指定(生前に)することができます。生前に指定されていない場合には、慣習に従い、なお決まらない場合には裁判所が決定します。
(2)祭祀主宰者の仕事
遺骸の引き取り
葬儀の執行
遺骸の火葬
遺骸の搬送と納骨
以後の祭祀(供養)
(3)生前に、祭祀主宰者の指定を行っておき、遺骸の処理や葬送、遺骨の扱い等について、詳しく文書にしておくことがよいでしょう。子以外の方を生前指定する場合には、書面にして相続人達にも示しておき、死後の祭祀主宰者をめぐる争いが起きないようにしておくことが必要でしょう。
(4)樹木葬の方であれば、当寺院が祭祀主宰者となることを受諾します。
親族、親類、縁故者及び知人等に該当者が見当たらないときは、当寺院が祭祀主宰者となることを受諾します。この場合、民法897条にもとづき、別紙の「祭祀主宰者の指定証書」を作成し、別途の「祭祀の方法」の確定と、「祭祀の費用」の事前納付を必要とします。そして、これらの事情について相続人らの関係者に事前に示しておいてください。遺骸の引取りから納骨・供養まで、当寺院が責任を持って執行します。
(5)相続人の仕事
@ 死亡後の手続き
◎市区町村役場での手続き
社会保険証、国民健康保険証、その他の医療受給証の返還・変更手続き。
障害者手帳、印鑑登録等の返還。
葬祭費の支給手続き。
◎個人財産の名義変更その他
土地・建物の不動産 司法書士
有価証券 証券会社
銀行預金 必要書類を銀行に聞く
死亡保険金の受取り 保険会社
自家用車 陸運局で手続き
電気・ガス・水道・電話等 各社へ手続き
所得税の確定申告 死亡日の翌日から4ヶ月以内
医療費控除 医療費控除は本人か扶養者が取ることができる
A 自宅の整理
最近では、故人の自宅の整理を請負う事業者ができています。
B 遺産の整理
(6)相続財産を有する人で、法定相続を望まない場合は、遺言をしておきます。
例えば、子供のない夫婦の場合、一方が亡くなったときは、配偶者と被相続人の兄弟に相続されます。配偶者に全部相続させたいとお考えであれば、遺言しておくことが必要です。この場合、夫婦それぞれが、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
@ 遺言の作成
自筆証書遺言 遺言内容の全文と作成日付及び、氏名の自書・押印(死後、家庭裁判所の検認が必要)
公正証書遺言 公証人役場で作成(二人以上の証人の立会)
A 遺言で指定する割合と遺留分
民法1028条(遺留分権利者とその遺留分)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1
2.その他の場合には、被相続人の財産の2分の1
B 遺言執行人の指定
遺言執行人は、遺言に基づき、財産目録の作成、遺産分割協議書の作成、預金・有価証券の名義変更、不動産の登記などを行います。遺言で遺言執行人を指定しておくことができます。
弁護士、司法書士に遺言作成から執行まで、依頼することもできます。
4.サポート・グループの立ち上げについて
正福寺・樹木葬の皆さんの中で、できる範囲で、老後や葬送のあり方等の相談・研究、また地域の近くに住む者同士の連絡などを行うグループの結成です。
趣旨に賛同される方の参加を募りますし、グループ(会)の名称を募集します。
5.おわりに
なるべく迷惑をかけないで、「安心して死を迎える」ことは、大変なことでもありますが、できるだけの準備を行っておくことは、老後を安心して生きていくうえで必要なことだと思います。思いつくままに書き綴ってみましたが、これは試案です。皆さんのご意見をお寄せください。ご一緒に考えてみましょう。
ご意見は、お手紙でもよろしいですし、「メール」でも結構です。お待ちしています。
2007年 11月 24日 記