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【H22.8.27】障害者「雇用納付金制度」「雇用率制度」の改正

◆「障害者雇用納付金制度」とは?
障害者雇用促進法では「障害者雇用率制度」が設けられており、常用雇用労働者数が56人以上の一般事業主は、その常用雇用労働者数の1.8%以上の身体障害者または知的障害者を雇用しなければなりません。
これを下回っている場合には、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて、1人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」を納付しなければなりません。
一方、常用雇用労働者数が300人を超える事業主で法定の障害者雇用率(1.8%)を超えて障害者を雇用している場合には、その超えて雇用している障害者の人数に応じて、1人につき月額2万7,000円の「障害者雇用調整金」が支給されます。

◆改正点について
改正障害者雇用促進法が平成21年4月から段階的に施行されていますが、平成22年7月からは、以下の内容が施行されています。
(1)「障害者雇用納付金制度」の対象事業主の拡大
従来は、常用雇用労働者数が「301人以上」の事業主が対象(昭和52年以降)でしたが、「201人以上」に拡大されました。なお、平成27年4月からは「101人以上」に拡大されます。
(2)「障害者雇用率制度」の対象労働者の拡大
短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)が、障害者雇用率制度の対象となりました。これにより、常用雇用労働者の総数や実雇用障害者数の計算の際に、短時間労働者を「0.5カウント」としてカウントします。

◆改正の目的
上記(1)の改正の目的は、近年、障害者雇用が進展する中で、中小企業における障害者雇用状況の改善が遅れているため、障害者の身近な雇用の場である中小企業における障害者雇用の促進を図ることです。
また、上記(2)については、障害者によっては、障害の特性や程度、加齢に伴う体力の低下等により長時間労働が難しい場合があるほか、障害者が福祉的就労から一般雇用へ移行していくための段階的な就労形態として有効であるなどの理由から、改正がなされました。

◆改正の影響
今回の改正により、障害者雇用の促進が期待される一方で、初めて障害者を雇用する企業にとっては、作業施設・設備の改善、特別の雇用管理等が必要になるなど、一定の経済的負担を伴うこともあり、ハードとソフト両面での環境整備が必要となります。

【H22.6.5】「雇用」や「賃金」に対する企業の考え方

◆「企業経営と賃金に関する調査」
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、平成20年12月に「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」として、全国の従業員50人以上を有する企業約15,000社(有効回答2,734社)を対象として大規模な調査を行い、その結果をまとめました。
調査内容としては、賃金の構成要素や賃金制度のあり方、制度見直しの方向で、経営環境や雇用に対する考え方についても含まれています。

◆雇用・賃金体系に対する考え方
雇用に対する考え方としては、できるだけ多くの社員について「長期安定雇用」を維持したいと回答した企業は約7割に上り、「従業員の生活を保障するのは企業の務め」と回答した企業は9割近くとなっています。
賃金体系については、過去5年程は年齢・勤続・学歴を重視する「個人属性重視型」が40.5%で最多でしたが、今後は職務遂行能力を重視する「職能重視型」が33.2%と最も多くなっており、成果主義賃金の典型である「短期成果重視型」は8.6%にとどまっています。
賃金制度を見直すにあたって重視する点については、以前・今後のいずれも「個々の職務遂行能力」、「個々の成果」を把握して賃金に反映させることがそれぞれ6割強となっています。

◆「職務遂行能力」を重視へ
ここ数年の不景気下で、非正社員だけでなく、正社員でも「雇用の安定」を求めにくい状況となっていますが、企業サイドとしては、以前同様「長期安定雇用」を目指していることがうかがえます。
しかし、その際に重視するのは、以前は「従業員の年齢や学歴」が中心となっていましたが、今後は「職務遂行にあたっての能力」であるということがこの調査により明確になっています。
今後は、職務遂行能力を向上させるための教育制度やその補助に関する充実がより求められるのではないでしょうか。

【H22.6.3】年金記録の回復がより早く!〜新たな回復基準〜

◆年金記録確認第三者委員会の役割
世間を騒がせた「消えた年金」や「宙に浮いた年金」を救済するため、昨年6月に総務省に「年金記録確認第三者委員会」(第三者委員会)が設置されました。
この第三者委員会は、年金記録の確認について、国(厚生労働省)に記録が残っていなく、本人も領収書等の物的な証拠を持っていないといったケースについて、国民の立場に立ち、申立てを十分に汲み取り、様々な関連資料を検討したうえで、記録訂正に関し公正な判断を示すことが任務とされています。

◆新たな年金記録救済策
このほど(5月6日)、日本年金機構では、年金記録救済策をさらに手厚くするため、上記の第三者委員会で審議することなしに年金事務所(旧社会保険事務所)の調査だけで年金記録を回復できる基準を示しました。その内容は次の通りです。
(1)厚生年金(標準報酬月額の改ざんの疑い)
・6カ月以上さかのぼって標準報酬月額が大きく引き下げられている記録が事実に反していると疑われるなどの条件を満たす場合
(2)厚生年金(脱退手当金の誤った支給記録)
・昭和49年まで発行されていた厚生年金の被保険者証に、脱退手当金を支給した表示がないなどの条件を満たす場合
・脱退手当金の支給日より前にその計算基礎にされていない厚生年金の期間があるなどの条件を満たす場合
(3)国民年金(2年以下の記録漏れ)
・保険料納付記録が漏れていると思われる期間が2年以下であって、その他の期間は納付済みであるなどの一定の条件を満たす場合

◆その他の年金記録回復の基準
上記以外にも、確定申告書の控えが残っている場合や、勤めていた事業所が廃止された後に厚生年金の加入記録がさかのぼって変更されている場合などの回復基準があります。


【H21.5.29】育児・介護休業法改正案のポイント


◆平成22年4月の施行予定
3歳未満の子どもを持つ従業員に対する「短時間勤務制度」の導入を企業に義務付けることや、父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2カ月までの間に1年間育児休業を取得可能とする「パパ・ママ育休プラス」の創設などを盛り込んだ育児・介護休業法の改正案が閣議決定されました。国会審議が順調に進めば、来年4月施行の予定です。

◆改正案のポイント
(1)子育て期間中の働き方の見直し
・3歳までの子を養育する労働者について、短時間勤務制度(1日6時間)を設けることを事業主の義務とし、労働者からの請求があったときの所定外労働の免除を制度化する。
・子の看護休暇制度を拡充する(小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日)。
(2)父親も子育てができる働き方の実現
・父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2カ月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする。
・父親が出産後8週間以内に育児休業を取得した後に復帰した場合、再度育児休業を取得可能とする。
・配偶者が専業主婦(夫)であれば育児休業の取得不可とすることができる制度を廃止する。
(3)仕事と介護の両立支援
・介護のための短期の休暇制度を創設する(要介護状態の対象家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日)。
(4)実効性の確保
・苦情処理・紛争解決の援助および調停の仕組みを創設する。
・勧告に従わない場合の公表制度、および報告を求めた場合に報告をせず、または虚偽の報告をした者に対する過料を創設する。

◆仕事と家庭の両立に向けて
上記内容は、いずれも企業の取組み強化を迫るものとなっています。しかし、制度は整ったとしても、現実は利用しにくい雰囲気が、育休取得が進まない原因となっており、中小企業では、仕事と家庭を両立させ、育児休業を取得するには難しい状況であると言われています。
改正法が成立しても、両立支援が実効性あるものになるかどうかは、職場の意識改革を進めて育児休業を利用しやすい職場環境を作れるか、そして何よりも経営者の取組みがカギとなるでしょう。


【H21.5.25】都道府県単位に変わる健康保険の保険料率

◆昨年10月にスタートした「協会けんぽ」
平成18年に行われた健康保険法の改正により、平成20年10月に「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)が設立され、運営がスタートしています。
これまで、中小企業等で働いている従業員やその家族が加入している健康保険(政府管掌健康保険)は、国(社会保険庁)により運営されていましたが、新たに協会けんぽが運営することとなったものです。
ところで、協会けんぽ設立時に「都道府県別の健康保険料の設定」となることが決まっていましたが、その詳細は明らかになっておらず、協会けんぽ設立後1年以内に(平成21年9月までに)、事業主・被保険者が参画する運営委員会や各都道府県の評議会において意見徴収のうえ設定されるとされていました。
3月末にその取扱いが明らかになりましたので、ご紹介します。

◆「都道府県単位保険料率」設定の背景
従来、全国一律に設定されていた保険料率では、疾病予防等の地域の取組みにより医療費が低くなったとしても、その地域の保険料率に反映されないという問題点が指摘されていました。そのため、国民健康保険や長寿医療制度(後期高齢者医療制度)と同様、都道府県単位の財政運営を基本とする改革が行われ、その一環として都道府県単位の保険料率が導入されました。
なお、平成25年9月までは、都道府県間の料率の差を小さくして保険料率を設定することとなっており(激変緩和措置)、平成21年度は実際の保険料率と全国平均の保険料率との差が10分の1に調整されています。

◆「都道府県単位保険料率」
都道府県ごとに定められた保険料率は以下の通りです。長野県が最も低く、北海道が最も高くなっていますが、全体的に見ると、比較的「南高北低」の傾向にあるようです。
なお、健康保険組合の保険料率は、平均で7.41%です(2009年度予算早期集計より)。
・8.15%…長野
・8.17%…群馬・埼玉・千葉・山梨・静岡
・8.18%…岩手・山形・茨城・栃木・東京・新潟・滋賀
・8.19%…宮城・神奈川・富山・岐阜・愛知・三重・京都・愛媛
・8.20%…福島・福井・兵庫・鳥取・宮崎・沖縄
・8.21%…青森・秋田・石川・奈良・和歌山・島根・高知
・8.22%…大阪・岡山・広島・山口・長崎・鹿児島
・8.23%…香川・熊本・大分
・8.24%…徳島・福岡
・8.25%…佐賀
・8.26%…北海道

◆今後の取扱いについて
都道府県単位の保険料率については、今年の9月分(一般の保険者については10月納付分、任意継続被保険者については9月納付分)から適用されます。


【H21.3.25】父親のワーク・ライフ・バランスを考える

◆まだまだ低い男性の育児休業取得率
女性の育児休業はだいぶ取得しやすくなってきましたが、男性についてはまだまだ理解が進んでいないのが現状です。男性の約3割が育児休業を取りたいと考えている一方で、実際の取得率はわずか1.56%にとどまっています。また、男性が子育てに費やす時間も、極めて低い水準にあります。
勤労者世帯の過半数が共働きとなっている今、男性も子育てに十分に関わることのできる環境作りが求められています。

◆「仕事と子育て両立パパ」を支援
男性も子育てに十分に関わることのできる働き方の実現に向け、厚生労働省は、これから父親になる男性労働者や子育て期にある男性労働者が仕事と家庭を両立した働き方ができるように、「父親のワーク・ライフ・バランス 〜応援します! 仕事と子育て両立パパ〜」と題したハンドブックを作成しました(「父親のWLB(ワーク・ライフ・バランス)応援サイト」http://www.papa-wlb.com/よりダウンロード可能)。
このハンドブックには、両立支援制度等の関連情報(育児期における父親の役割や育児休業取得の際の留意点、子育てにかかる経済的支援制度や各種相談窓口など)が盛り込まれているほか、実際に育児休業を取得して子育てに積極的に関わっている男性の声や事例なども掲載されています。仕事と子育てが両立できる働き方を設計・実践するツールとして活用することができます。
企業においても、男性労働者が仕事と子育てをうまく両立させ、それによりモチベーションが高まる好循環を生み出すヒントとして活用することができそうです。

◆男性も家庭と仕事の両立を!
父親の積極的な子育て参加を応援することには、様々なメリットがあると考えられます。
例えば、企業側からみれば、男性従業員のモチベーションの向上、企業イメージの向上を図ることができます。また、社会経済的にも、夫婦で子育てを行うことにより少子化対策につながることが期待できるほか、女性の労働力率の向上、男女共同参画の推進につながります。
今や、男性も家庭と仕事との両立に積極的に取り組むべき時代です。今後、「父親のワーク・ライフ・バランス」支援の意義やメリット、具体的な取組みについて、いっそう真剣に考えなければならないといえるでしょう。


【H21.3.23】国会審議中の「雇用保険法改正案」の内容

◆国会で改正案を審議
現在、「雇用保険の適用拡大」「失業給付の拡充」「雇用保険率の引下げ」などが柱である雇用保険法改正案が通常国会に提出され、審議が進められています。ここでは、その改正内容を簡単にご紹介します。

◆改正案の目玉
改正案の目玉の1つは、「雇用保険の適用拡大」です。受給資格要件を緩和し、現行の「雇用見込み1年以上」から「雇用見込み6カ月以上」に短縮するとしています。厚生労働省では、この短縮が行われた場合、新たに約148万人の労働者が雇用保険の適用対象となると見込んでいます。しかし、それでもパート労働者など約858万人は対象にはならないと言われており、問題視されています。
また、「失業給付の拡充」も大きな事項です。解雇や労働契約が更新されなかったことによる離職者について、年齢や地域を踏まえたうえで、特に再就職が困難な場合には、給付日数が60日分延長されることになります。

◆その他の改正内容
その他、「雇用保険率の引下げ」(平成21年度に限り0.4%引下げ)、育児休業給付の見直し(休業中と復帰後の給付を統合して休業期間中に全額支給)、再就職手当の支給要件緩和・給付率の引上げ(30%から40%または50%に)なども盛り込まれており、成立すると企業にも影響を与えます。

◆施行日をめぐる問題
当初、この改正案が成立した場合の施行日は、一部を除き「4月1日」と予定されていました。しかし、野党側は、年間の離職者の約1割が「3月31日」に集中しているというデータを持ち出して、施行日を「4月1日」より前にすべきだと主張しています。
雇用情勢の悪化を受けて、「年度末の失職者を含んだ適用」を見据え、与党側もこの主張に応じる構えを見せていると言われており、今後、野党側との修正協議が行われる見込みとなっています。


【H21.3.7】第2次補正予算成立により各種助成金が新設・改正

◆第2次補正予算が成立
「平成20年度厚生労働省第2次補正予算」が案の通り成立しました。その主な内容は以下のものです。
(1)雇用状況の改善のための緊急対策の推進(4,048億円)
(2)介護従事者の処遇改善と人材確保等(1,680億円)
(3)出産・子育て支援の拡充(2,400億円)
(4)障害者支援の拡充(869億円)
(5)医療・年金対策の推進(1,324億円)
(6)各種施策の推進(86億円)
ここでは、第2次補正予算の成立に伴い新設・改正された主な助成金についてご紹介します。なお、第2次補正予算の詳しい内容につきましては、厚生労働省ホームページをご参照ください。http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/08hosei/dl/02index01.pdf

◆「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」の新設
6カ月を超える期間継続して労働者派遣を受け入れていた業務に派遣労働者を無期または6カ月以上の有期(「更新有」の場合に限定)で直接雇い入れる場合で、労働者派遣の期間が終了する前に派遣労働者を直接雇い入れる場合に、奨励金が支給されます。
支給額は、期間の定めのない労働契約の場合は最大で100万円(大企業は50万円)、6カ月以上の期間の定めのある労働契約の場合は最大で50万円(大企業は25万円)です。
なお、この助成金は、平成21年2月6日から平成24年3月31日までと期間が限定されています。

◆「若年者等正規雇用化特別奨励金」の新設
年長フリーター(25歳以上40歳未満)および30代後半の不安定就労者、または採用内定を取り消されて就職先が未決定の学生等を正規雇用する事業主が、一定期間ごとに引き続き正規雇用している場合に、最大で100万円(大企業は50万円)の奨励金が支給されることとなっています。なお、ここでいう「正規雇用」とは、雇用期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度である労働契約を締結し、雇用保険の一般被保険者として雇用する場合を指します。

◆その他の改正点
その他、「雇用調整助成金」、「中小企業緊急雇用安定助成金」、「特定求職者雇用開発助成金」などについても、受給要件の緩和、支給額の拡充などが実施されています。

【H21.2.15】労働時間減少によりついに年間1,800時間以下に

◆製造業の稼働率・残業時間が大幅減少
経済産業省は、昨年11月の製造工場の稼働率が88.5%(2005年を100%とした場合)となったと発表しました。前月よりも9.4ポイント低下しており、比較可能な1968年以降のデータでは最大のマイナス幅となっています。
また、厚生労働省が発表した「毎月勤労統計」によれば、昨年12月における製造業の労働者1人当たりの残業時間(所定外労働時間)が12時間となり、全年同月と比較すると30.6%も減少したそうです。不況に伴う減産が大きく影響しており、減少幅は1990年の調査開始以来最大となっています。
厚生労働省では、「1970年代の第一次オイルショックを超える急速な落ち込みである」と分析しています。

◆年間の労働時間は初めて1,800時間を下回る
 また、2008年における常用労働者1人当たりの年間総実労働時間(所定内労働時間に時間外労働時間と休日労働時間を加えたもの)は1,792時間となり、前年比16時間減少しました。年間総実労働時間が1,800時間を下回ったのは、1990年の統計開始以来初めてのことだそうです。
各企業とも労働時間短縮による人件費の削減を図っているようで、残業代は月平均1万9,448円となり、こちらも前年比1.5%減となっています。

◆かつての政府目標「1,800時間」
政府は、かつて、年間総実労働時間を1,800時間に短縮することを目標にしていました。また、連合でも「年間総実労働時間1800時間の実現に向けた時短方針」などを掲げていました。
ここ数年は長時間労働による健康被害が問題となり、また、「ワーク・ライフ・バランス」が提唱され、長時間労働に焦点が当てられていました。健康管理面からの長時間労働抑止、仕事と家庭の両立支援のための労働時間短縮とは違った形で、いわば未曾有の大不況の影響という形で、労働時間の短縮が実現されてしまった格好です。


【H21.2.15】「退職届の撤回」をめぐるトラブル

◆労使間の退職時トラブル
退職の際に労使間でトラブルが生じることがあります。最近では、在職中に転職先を決めていたが、転職先の企業の経営状況悪化などの理由により、提出した退職届を撤回したいと申し出てくる労働者とのトラブルが発生することもあるようです。

◆退職届を撤回できるかの判断
退職届には、労働者側から一方的に労働契約を解消する解約告知としての「退職届」と、労働契約の合意解約の申込みとしての「退職願」の2つのケースがあります。前者の「退職届」の場合、基本的に撤回することはできませんが、後者の「退職願」の場合は、撤回できる場合があります。この「退職願」の場合の退職の効果については、会社の承認や承諾により発生するものとされ、会社の承認や承諾がなされて合意退職が成立するまでの間は撤回ができるものと考えられています。
労働者が退職届を直属の上司に提出したものの、上司がそれを預かったまま人事部長など決定権のある人へ決裁を上げていなかった場合についても、撤回できる可能性があります。退職届を受け取った者が承認の権限を持つかどうか、そして、それを正式に受け取ったのか、預かりで受け取ったのかが撤回できるかどうかの決め手となります。

◆トラブルを未然に防ぐためには
労働者が退職届を提出した後、会社がそれを「承認された状態」なのか「預かりの状態」なのかを曖昧にしておくと、すでに新たな労働者の採用を決めていたケースなどで、労働者から「退職届を撤回したい」と申出があった場合にトラブルに発展する可能性があります。退職届を受け取った場合、会社としては、承認や承諾をして合意退職が成立した時には、退職届を受理し、『承認しました』という意味の通知書などを作成して労働者に渡すことによって、退職届を撤回することはできないと労働者に示すことができます。
何事もトラブルが起こってから対応するのではなく、予測されるトラブルを未然に回避する方策を考えておくことを、常に意識しておきたいものです。


【H21.2.13】退職(失業)に伴う国民年金保険料の特例免除


◆失業者に重くのしかかる保険料負担
雇用情勢の悪化を受け、社会保険庁は、国民年金保険料を免除される「退職特例免除」の利用を呼びかけています。
2008年度の国民年金の保険料は月額14,410円。失業した人にとって、この保険料の負担は決して軽くありません。しかし、免除を申請しないまま保険料を納めないとその間は公的年金の加入期間に算入されず、結果的に「無年金状態」になったり、納付期間が少なければ受け取る年金額が少なくなったりするおそれがあります。

◆「特例免除」制度のメリット
この特例免除は失業の理由を問わず、自己都合による退職でも適用されます。申請した年度か前年度に退職したケースが対象となり、例えば2009年3月末までに申請するのであれば、2008年7月にさかのぼって免除を受けることができます。
そして、特例免除を受ければ、保険料を一部納付したとみなされます。将来は免除期間分について全額納付した場合の3分の1(2009年4月以降は2分の1の予定)として年金額が計算されます。残りの3分の2についても、10年までさかのぼって追納することが可能です。

◆必要な手続きは?
特例免除の申請は、住民票のある市区町村役場へ「国民年金保険料免除申請書」を提出することで手続きができます。
詳しくは,社会保険庁ホームページ(国民年金保険料の全額免除制度、一部納付(免除)制度、若年者納付猶予制度について)をご参照ください。