■■■■ 猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)について ■■■■
2009/10/18更新

猫エイズ、という言葉を聞いた事がある方はたくさんいますが、
その実態についてあまりにも多くの偏見や誤解がある事を痛切に感じます。
さぞや恐ろしいどうしようもない病気、同居している他の猫にはうつらないのか?ヒトにはうつらないのか?
そんな重い病気なら安楽死させる方がいいのではないのか?
疑問のままに翻弄されて不幸になる猫や飼い主はどの位いるのか…。
"猫エイズ"でweb検索を行えばたくさんのサイトが見つかります。
そんな中であえて私のサイトに猫エイズの情報をUPする事にしたのは、
少しでも多くの人に誤解や偏見を解いてもらいたい、という思いがあっての事です。
(猫エイズに限らない話ですが、猫との同居を考える時、その生態だけでなく病気についても新しい情報を取り入れていく事は
猫にとっても飼い主にとっても大事な事です。)
獣医学を学んだわけでもなく、ずぶの素人ですので間違いもあるかもしれませんが(お気づきの方、ご一報戴けると嬉しいです(^-^;)
どうぞ、ご一読下さい。

まず最初にお断りさせて戴きます。
猫エイズはヒトにはうつりません。
また、咬み合い流血の大喧嘩や交尾がなければ他の猫にうつる事は極めて稀です。

ですから、家族の一員である猫がエイズウィルスに感染している事が判明しても、
行き倒れの猫を保護し検査の結果FIV感染が判っても、
決して慌てず冷静に対処して欲しい、そう思います。

[参考サイト]
猫免疫不全ウィルス感染症(クローバー動物病院)
P-WELL通信 犬猫病気百科
猫エイズなんて怖くない!
猫後天性免疫不全症候群 - Wikipedia
■ 猫エイズとは?
猫エイズとは、猫後天性免疫不全症候群(猫免疫不全ウィルス感染症)といい、
FIV(Feline immunodeficiency virus = ネコ免疫不全ウイルス)に感染する事により、
ネコおよびネコ属の哺乳類(トラなど)が引き起こす諸症状を指します。
生物は自己を他己から守る為に免疫という機能を持っていますが、
FIV感染後症状が進行すると、その免疫機能が駄目になってしまい、
元気であれば問題ない微生物等で重い症状を出してしまったりします(日和見感染)。
症状が進行した結果死に至る病が猫エイズです。
ですが、FIVに感染しているだけ、つまりFIVキャリアであれば、普通の健康な猫となんら変わりなく生活を送る事ができます。
くれぐれも、FIVキャリアと猫エイズ発症を混同しないで下さい。
■ FIV感染と猫エイズ発症までの過程
1)FIV感染猫との喧嘩による咬み合いや交尾等の結果、感染。

2)第1ステージ(急性期):ウィルスが活発に活動し猫の免疫と激しく闘う時期。
  猫は急に体調を崩しだし、熱が出たり、ひいたりします。また下痢や鼻水がしきりに出るようになり、リンパ腺が腫れます。

3)第2ステージ(無症状キャリア期):健康な猫と変らない時期。
  ウィルスはリンパ球の中に潜んで眠りにつきます。免疫機能の方も敵を見失い、風邪が治ったかのように元気になります。

4)第3ステージ:エイズ関連症候群といわれる症状が出る時期。
  慢性的な口内炎/皮膚炎/下痢等を繰り返したり進行させたりしながらだんだん症状が重くなっていきます。

5)第4ステージ(終末期):免疫不全症に陥る時期。猫エイズ発症(猫後天性免疫不全症候群)。
  免疫機能を司るTリンパ球が極端に減少し、免疫機能がほぼ麻痺してしまいます。
  日和見感染や悪性腫瘍が出るようになり、死に至ります。
■ 感染を防ぐ方法/感染の有無の確認
・不妊去勢を行い、大きな喧嘩や交尾をさせないようにする。
 ※私はTNRやそれに付随して猫の里親探し等を行っており、その経験則なのですが、
   罹患率はオスの方が圧倒的に高いです。
   オスの方が発情期に大きな喧嘩をするせいだと思われます。
・完全室内飼育にする。
 ※完全室内飼育とは、猫を外に出さず、お家の中で暮らさせる事です。見知らぬ猫との濃厚な接触を絶つ上では重要です。
・獣医師にFIVの血液検査を依頼する。
 ※多くの獣医師は検査キットを用意していますので短時間で結果が判ります。
 ※キットに反応するのは感染後2ヶ月位経ってからになります。(白血病は1ヶ月位。)
 ※生後半年以内の仔猫の場合、エイズ/白血病の血液検査結果はあてになりません。
 親からの移行抗体があるので、陽性と出ても陰転する可能性があります。
 仔猫の血液検査について


■ 完全室内飼育における同居猫への感染について
これはあくまで私の経験則ですが、猫エイズの感染力は非常に弱く、
流血噛合いの大喧嘩がなければ感染する事は稀だと思います。
同じお皿からゴハンを食べた/同じ器の水を飲んでいる…位ではまず感染しないかと思います。
ただし、"極度に"仲の良い子同士の場合、濃厚な舐め合いっこで感染する可能性はあるようです。
(時々"ペロリ"程度でしたらまず心配はいらないでしょう。)
私は里親探しの猫(非キャリア)を預かったりしていますが、我が家で感染した事は今のところ皆無です。
感染症であるので"100%"感染しないとは言い切れませんが、
極度に気をもんで隔離したりする必要はないように思います。

ただし、猫エイズを発症している子は注意が必要です。
重度のウィルス血症を起こしており、必然的に唾液等に排出されるウィルス量も増加していると考えられます。
排出されるウィルス量が多い為、ただのキャリアの子よりも感染させてしまう確率が上がると思われます。
■ もしもFIV陽性と判ったら
上記の過程のうち、第2ステージ(無症状キャリア期)と第3ステージ(エイズ関連症候群が現れている時期)においては、
猫が安心して暮らせる環境を用意し、健康状態に注意を払えば、かなり長くその時期を過ごさせてあげる事ができます。
中には無症状キャリアのまま、天寿をまっとうする猫もいます。
また、野良猫や行き倒れっコでFIVに感染している場合、極端に痩せていたりして"今にも死にそう"な事もあるかもしれません。
ですが、食事が充分でなかったり、不衛生な環境であった為に"死にそう"なだけ、、、という可能性もあります。
充分な栄養と清潔な環境の元で療養させると"すっかり元気"な様子になる事もありますので、
もしそういう猫に出会ってしまっても、適切な治療を施し、注意して様子を見てあげて下さい。

何より大事なのは、FIV感染が判明しても、悲観せずに、猫と楽しい生活を送る事だと思います。
暖かい気持ちは猫にキチンと伝わりますから(^-^*
■ 猫エイズの治療
残念ながら、2009/10現在において、FIVを根治する治療方法はなく、対症療法で細々と対処していくしかありません。
ですから、上記で述べた通り、心安らかな生活を送らせてあげる事が一番の治療かもしれません。
色々な意見や治療法はあるかと思いますが、食事が出来なくなる位口内炎等が酷くなったらステロイド注射、
というのが一番多くとられる対症療法ではないかと思います。
ステロイドは炎症を抑え痛みをなくすのに非常に効果を発揮しますが、
連用すると免疫系統を弱らせてしまう為安易にたくさんは使えません。
インターフェロンや漢方薬等を、獣医師と相談の上で使う事も手段の一つではあります。
何にせよ、信頼できる獣医師とよく話し合って治療方針を固めて下さい。

ちなみに、我が家の王様猫・怡怡(2005/07保護時FIV陽性、2006/01FIV発症と診断され、2009/02他界)の治療方針は
「なるべく痛みが少なくてゴハンも自分でおいしく(?)食べられるようにする」でした(苦笑)。
過剰に色々な事をして、ただでさえ弱っていく免疫機能を甘やかしてしまってはダメなように思い、
免疫機能の能力をあげるといわれるサプリなんかは一応試したりしつつ、
「痛くない/出血もない/自力で食べる」を念頭に置いて様子を観察する日々でした。
どれだけ痛むのか、言葉が話せれば訊きたいところでしたがそうもいかず、
ヨダレの具合/食事量/食事への執着度合い等でステロイド注射の時期を見定めていました。
また発症していると診断されてからですが、遅まきながら漢方薬も併用しだしたところ、
獣医さんも驚く程に口の中の炎症は抑えられ、それまで常に酷くダラダラだったヨダレの量が激減しました。
なのでステロイド注射の回数もぐっと抑える事ができました。(もっと早くから漢方薬を与えていれば良かったと今も思います。)
怡怡の具合についてはMADAM-ZOO[別館]にて不定期報告しておりました。
怡怡は他界しましたが、今後も追加情報が入り次第更新します。
あまりためになる事は書いていませんがケアの様子として参考になればと思います。
■ 猫エイズ発症後について
我が家の怡怡は2006/01、ダメになって歯肉を傷つけていた歯の抜歯を行いましたが、口内炎は良くなりませんでした。
そうした事を含めて総合的に判断し、獣医師さんからは「発症とみていい」と診断されました。つまり、最終ステージ入り…。
エイズキャリアでも元気に暮らしている猫達を見知っているだけに、
最終ステージまで到達してしまった怡怡はどうなるのだろう…と思い、率直な意見を獣医師さんに伺いました。


--発症後の予後についての回答--
A:ステロイドに反応し、体重減少がなければその予後は安定的。
B:ステロイドには反応するものの、体重減少/白血球数減少/リンパ球減少があるならやや危険な状態。
C:ステロイドに無反応の場合、急速な筋萎縮/脱水が生じる。予後は個体差はあるものの約1ヶ月。
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大まかな分け方としてはこんな具合なようです。
ですから、体重測定は自宅でできる結構大事なイベントだと言えるでしょう。
万が一に備えて、皮下補液や強制給餌の用意もしておいた方が無難かと思います。
特に脱水時の電解質皮下補液は効果があり、楽になる様子です。

保護時からですが、怡怡の状態は、かなり悪かったです。
遊ぶなんていうのはほぼ皆無、殆どの時間を寝て過ごしていました。
ごく稀に、気分が乗った時(調子が少し良い時?)に小走りになったりする事はありましたが、
そんな行動すら、喜ぶよりも、思わず「大丈夫か!?」と冷や冷やしてしまう位で…。。。
口の中の炎症が酷かった為、垂らすヨダレの量も(漢方薬で改善されたとはいえ)元気な子とは比べ物にはならない量でしたし、
ゴハン時も「腹減った」と起き出して来たらほっと安堵。しばしば私が「ゴハン、食べなさいな」と促していました。
ドライフードをそのままでは食べられなくなっていた為(炎症が酷くて痛かったのだと思います)、
ふやかしたドライフード&ウェットフードをよく潰して混ぜ、なるべく飲み込み易いようにして与えていました。
発症しているかどうかはあくまで臨床症状で判断する為、その見極めは難しいところらしいのですが、
明らかに他の猫達とは様子が違っていました。
今でも私はFIVキャリアの子の預かり・里親探しをしていますが、
みんな、元気だなあ、怡怡はやっぱり違ってた(発症していた)んだなあ…と感じます。

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