貴嗣が残してくれたもの
岡田貴嗣君は重度の心筋症でした。わずか12年の歳月でしたが精一杯生き抜いた12年間でした。私と貴嗣君の出会いはテレビ番組の「アンビリバボー」でした。彼が毎日毎日を大切に,友だちのことを大切にした内容でした。
そして,昨年偶然にも転任してこられたS先生が岡田貴嗣君を通して,生きることや命の大切さを子どもたちと学習した経験をお持ちでした。
そして今年,貴嗣君のお母さんが徳島に来てくださることになり,S先生からお誘いを受け,あつかましくも研修に参加してお話を伺うことができました。

まず,ビデオの中から貴嗣君の残したいくつかの言葉をみなさんに伝えたいと思います。

友だちっていいよ
ぼくも友だちにやさしくしたい
そして友だちを大切にしたい

ありがとうっていうだけじゃなくて
みんなにお返しがしたい
誰かの役に立ちたい

友だちとふれあっているときが一番楽しいね
友だちのいい面がわかったりしてね

今まで何の役にも立っていないと思ってうつになっていたけど,
そんなものがなくなる何か大きなものをもらえたような気がした

やってもらってばっかしだから少しは何かやっていかなければと思って,
人の役に立ちたい,と思ってた
けど,生き続ければみんな喜んでくれて役に立っている
人のために何かするんじゃなくて,生きているだけで役に立っている
(これからどうしようと思ってる?)
生き続けよう!って思うね

                 彼の生き方,考え方はとても素晴らしい。
                 短い言葉ではとても言い表せません。

お母さんのお話から
貴嗣から命の大切さ」「友だちのありがたさ」「毎日を一生懸命生きる」ということを教わった。
この貴嗣のメッセージをみんなに伝えることが私のこれからしていかなくてはならないことである。ビデオや本(ありがとう,貴嗣)を見たり,読んだりしてたくさんの手紙が来るけれど,中・高校などが簡単に自殺を考えていることに驚く。彼らのほとんどはいじめが原因で自殺を考えるのだけど,いつかどこかでまた,同じ所に生まれて来るという錯覚を起こしている。しかし,死んでしまったら,同じ所に生まれることはないということや,貴嗣の生き方を知ったら「死ぬ」ということを簡単には口にできない。・・・こういう内容で返事を書いたらほとんどの子が生きることを考え直している。

命の大切さということでは,命というものをがらがらの抽選器にたとえて話すこともある。たくさんの命の元が入っていて,それをたった一回しかまわせない。中に入っている命の元は,牛・豚・蛇・健康・病気・はえ・草・・・・・。あんたが今見ているそのうんこにとまっているはえがあんたの兄弟だっかかもしれんのよという話をすると,簡単に死ぬことも,命を粗末にすることもなくなっていく。

貴嗣は「命は何にでも合ってかけがえのないもの」という考えを身につけていた。そんなことを考えているとものは粗末することはできない。命は自分だけじゃない周りにあるすべてのものに宿っていると,そういった貴嗣は最後まで自前の心臓で頑張った。
貴嗣には夢があって,それは車いすでも入れる,障害を持った人も健常者も同じ場所で楽しく過ごせるお店があったらいいのに,というものだった。赤字続きだけれどユニバーサルな喫茶店ができて,生きていてよかったと思う。(貴嗣君のお母さんは二度死ぬことを考えたことがあるそうです)

友だちの大切さも貴嗣の残したことだが,何の努力もなしに貴嗣が人に優しくしてもらっているのではない,ということをわかっていてほしい。
些細なことで不安になったり誰にも認められないつらさを貴嗣も感じたことがある。だけど,いつも友だちのいいところを見つけていく。みんなに優しく親切にしたいという貴嗣の言葉の通り,こういう気持ちで通せば必ずわかってくれる。貴嗣もそういう気持ちで過ごしていた。だから,何にもなく友だちに親切にしてもらえていたのではない。

一生懸命生きるということの尊さということでは,貴嗣は一方で自分は大人になれないのではないか,ぼくはもう長くはないかもしれないと言いながら,もう一方ではリハビリをしたり勉強をしたりして何をするのも力を抜かずに生きてきた。毎日を一生懸命大切に生きてきた。
最後に病院で先生が心臓マッサージをしてくれて,先生がその手を止めても貴嗣の心臓は動いていて,「もう少し頑張りましょう」と,また先生がマッサージをする。やめても貴嗣は頑張って生きようとしていた。それを見て貴嗣の気持ちがすごくわかった。
毎日を一生懸命生きていきなさいという貴嗣からのメッセージである。


他にもたくさんお話をしてくださいました。やくざにあこがれている子どもに話したこと・・・等。
十分に意を尽くせていないことだと思います。お話ししてくださったことのほんの一部しか伝えることはできていないかもしれません。
岡田さん,お体に気をつけて,喫茶店で楽しいひとときが過ごせる人をたくさん迎えてください。