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ただの医者でも、ただの公衆衛生学者でもない。戦慄するような、
十代の性行為感染症の爆発を、婦人科臨床医として直視して来た。
当然、患者の治療・救済に全力を上げた。だが性行為感染症の
激増の背後にこそメスを入れなければ、この国を揺るがしかねない、
10代にまん延する性感染症問題は解決しない。市民グループのNPО法人
「10代の性行動の危機を考え行動する会」を立ち上げた。子供たちの
うめき声を胸に、とてつもなく“巨大な敵”に挑んでいる。
若い女性の間で性行為感染症の1つクラミジア感染症が急速に
増えている。不妊、子宮外妊娠、流産の原因になる。自覚症状がないまま、
ほかの人に感染させることが多い、という。「現場の産婦人科医は
大変な危機感を持っている」と深刻さを訴える。
第一線の臨床医は、さらに恐ろしい事態を真剣に心配している。
クラミジアのまん延の後にエイズの爆発的な流行があるのではないか…。
10代の性行為感染症は危機レベルに達している、と強調する。
性行為感染症(SТD=Sexually
Тransmitted
Diseases)―。
99年、厚生省が梅毒・淋病、クラミジア・性器ヘルペスなど7種類を
対象に全国の医療機関に調査を依頼した。
1年間で性行為感染症と診断されるのは、男性約25万人、
女性約35万人、合わせて約60万人と予測している。15歳から19歳の
年代で急激に増加し、若い女性に子宮けい癌が増えるという不気味な
現象が起きている。
驚くべきデータがある。初交年齢が16歳以下だと19歳以上に比べて16倍、
初潮から1年以内に初体験すると、10年以上に比較26倍、子宮けい癌に
なりやすい(日本母性保護産婦人科医会会報平成11年5月)。
「性行為感染症であるHPX(ヒトパピローマウイルス)感染症が若者の
間に増えていることが子宮けい癌増加の原因であることは間違いない」。
米国・ロマリンダ大学院博士課程修了、ロマリンダクリニック院長。
医学に関する著書・訳書が多い。
歴史や文学の研究で“文化の顔”も持つ56歳。
(文責・小林富久壽)
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