トップページに戻る


写真で綴る「その夜のひとこま」が下方にあります。

           4定期講演・交歓会(平成20年)

一筆啓上賞で有名な丸岡町文化振興事業団事務局長
 
      大廻政成氏(福井県)


      「街は劇場(しばいごや)」


 娘へ…。

 父は風呂場の君に、

「熱くないか」ときいただけじゃないか

 なぜ水をかける



 石けん よーし 

 タオル よーし
  
 湯加減 よーし 

 パパが風呂場のぞく口実

 全然 なーし


ご存知、「一筆啓上賞」の大賞作品である。全国的反響を巻き起こした。
その仕掛人である。否、地域興し人といった方がいい。
同事業団が平成5年から全国公募した。第1回の『日本一短い「母」への手紙』は
ミリオンセラーに輝いた。以来、テーマを変えて募集、毎年、単行本化している。
映画、DVD,切手にもなり、印税だけで5億円を記録した。


「5つか6つの東京の大学で学んだ。だがどこも卒業はしていない。
会社勤めのあと故郷に帰った」「丸岡町役場に入ったが、好きなことしかしなかった」
「素晴らしい町長、上司に恵まれた」「今の職場に
16年もいる」


若いころ、町長から「3億円やる。図書館を造れ。自由に造っていい」と指示された。
大廻さんが司書の資格を持っていたからだ。壁に消火器を入れるなど
全国ニュースになる図書館を建設した。町長が霞ヶ関に行く。
「あの図書館を造った町長さんですか」と称賛された。
町長は仕事がしやすくなった。


「まるおか子供歌舞伎」を平成13年に旗上げした。大阪道頓堀の劇場「中座」が
閉館になり、緞帳、欄干などが松竹から頂ける。子供歌舞伎結成の背中を押した。
演技指導、衣装などは松竹のプロらが全面的に協力、指導した。子供歌舞伎で
「3本の指に入る」と3年目に関係者から激賞された。


愛媛県西予市は「かまぼこ板の絵」で町興しをしている。
「日本一小さなキャンバス」のかまぼこ板の絵と「日本一短い手紙」の
コラボ展を昨年から始めた。
50万枚の絵と90万通の手紙の秀作を調べた。
感動的な絵と感動的な手紙の合体。会場は心の揺さぶりの場と化す。



あるコラボ展会場でのことー。
60歳ぐらいの男性が4日連続、足を運んだ。1つの作品の前で
決まって動かなくなった。ジーと眺めていた。



親の職業欄に「土方」と書けなかったんだ。

高校生の頃。

父ちゃん…。

かんべんな。



許しを乞う心の手紙。そこに、かまぼこ板いっぱいに
描かれた親父の顔。2つの作品が1つになり、さらに
感動を深めた。


自分の半生とダブったのだろうか。目頭をおさえたようにも見えた。
4日目の最後の日、「勇気が沸いた。生きて行ける」と明るい表情になり
会場を後にしたという。


京都、福井、愛媛に続く第4回のコラッセ福島展は4月
22日―29日まで。


「街は劇場だ。それぞれの役割がある。あなたは何をしますか。主役、脇役、
切符切り、下足番…」。夢は芝居小屋を造ること。すでに設計も出来ている。
30年の歴史の劇団「甍」も主宰。


“日本一の文化の町”を目指し、日本はもとより、
世界にも情報を発信して来た。


「これまでは仮の人生。定年後が人生本番」と言う。


人生の春まで後、3年。文化のどんな花々を咲かせるのか。
文化の桃源郷を目指す
57歳。

                              (小林富久壽)

 



その夜のひとこま