|
初代社長だった父、嘉吉さん(故人)との葛藤は激しく、長く続いた。
高校時代、生徒会長などで活躍していた紺野さんは住友銀行に“内定”
していた。だが長男のため家業のくず鉄収集業「紺野嘉吉商店」を
自分の意思で継いだ。「くず鉄屋」との“蔑視”が多く残っていた
時代だ。
仕事に中々、熱が入らない。面白くもない。帰宅すると父と
激しい喧嘩になる。「何でこんなに汚い仕事を始めた!」。
母(故人)が泣きながら、必死に中に入る。「お父さんに、
そんなことを言わないで」
子供が生まれた27歳、考えが変わった。「子供、妻のためにも頑張る」。
本気に勉強を始めた。県外の同業他社も視察、機械化した。設備投資を
続け、事業を拡大した。
28歳の若さでタクシー会社を買収、運送会社、自動車整備会社も経営した。
4社とも順調に発展した。しかし33歳の時、タクシー業界の大闘争に
遭った。ストライキは2カ月も続いた。
タクシーは黒字だったが、労働組合対策に嫌気がさし、他社に譲った。
運送、整備会社も止め、売った資金で本業を増資「こんの」として
社名を変更、社長に就任した。「大変な経験をした。その後の経営に
大きなプラスになっている」
古紙再生業は昭和28年の朝鮮戦争以来の好況を呈している。
循環型社会形成推進基本法、ダイオキシンの排出禁止のための焼却規制、
さらに中国、台湾、タイなどの経済発展が背景にある。
古紙は、日本の製紙会社より高く、中国に売れる。だが、従来の
付き合いから多くは、国内に販売する。「こんの」は、東北一円、
関東圏にも商圏を拡大、売り上げは年10%伸びの15億円。5年後に
上場、全国制覇を目指す。
13年前、通産省がアメリカの古紙事情視察を実施、全国の5業者の
1人に選ばれた。産業スパイの防止などから重要書類の徹底した粉砕、
さらには再生紙の法制化を目のあたりにした。
「10年後に日本に来る」と確信した。平成9年、機密文書を
シュレッダーで裁断、再生するを「アイクリーン」を設立、
会長に就いた。機密文書の扱いは倍々ゲームの急成長。
年商は4億円。東北で唯一の企業、首都圏でも営業している。
平成15年、福島商工会議所の副会頭に就任した。坪井会頭の親類だから
選ばれたとの声も少なくなかった。しかし業績、先見の明、会頭・副会頭の
業種、社会への貢献度などを考慮したら適任の1人であることは間違いない。
人生の挑戦は続いている。膨大な設備投資も続けた。福島JC理事長の時は
ボランティアに燃えた。上場は1つの夢に過ぎない。あれほど争った父は
その後、一言も文句を言わず、温かく見守ってくれた。亡き両親の有難さを
今、痛いほど感じる63歳。

凄い方だ。3年ぶりに本社をお訪ねし、感じました。世の中の流れ、方向を
見る先見の明の確かさです。古紙再生の「こんの」、機密書類裁断処理・
処理した物を再生するアイクリーンとも完全な追い風です。
当然ですが急成長です。驚くばかりです。
古紙再生事業の好調は中国を中心とした急速な経済発展が背景です。
中国はドンドン、古紙を輸入しています。来年のオリンピック、その後の
上海万博までは続くとの見方が強いようです。
アイクリーンの追い風は個人情報保護法と温暖化が大きな要因です。
役所、大企業、金融機関、捜査機関などは機密情報の漏洩を最も恐れます。
個人情報が流れたりすれば、信用を失い、大きなダメージを受けます。
金融機関などは、そのため独自に焼却をしていました。そこに起きたのが
温暖化です。人類そのものの存亡が問われる問題です。金融監督庁が
焼却でなく、処断・再生せよとの通達を出しました。
両社とも東京にも進出しています。特にアイクリーンは、その業界で
全国有数の会社に成長しています。個人情報の保護、温暖化対策は
強まるばかりです。追い風は続きます。
紺野会長は「偶然です。先見の明なんてありません」と謙遜されます。
でも偶然が、何度も続くはずはありません。優秀な経営者と確信します。
夢の多い方です。商売以外で燃えているのは、福島ー米沢の交流促進です。
完全なボランティアです。この夏に、両市の若手経営者10人ずつの1回目の
交流会を開く予定です。福島、米沢両商工会議所会頭も協力を約束して
います。福島市に路面電車の復活、信夫山の活性化の構想も持っています。
公の志を持つ経営者と痛感しました。
|