|
何という凄い人だろう! 改革派市長と国内外から賞賛されながら
わずか1期で勇退した。63歳の若さ。「1期4年で完全燃焼、そして勇退する」の
初志を見事に貫徹した。スタートから背水の陣で臨んだ。
埼玉県志木市役所に足を入れた途端、「こんにちはー」と明るい声が飛んだ。
行政パートナーと呼ばれる有償ボランティアの市民である。職員に代わり、
総合案内をしていた。職員は座って来訪者を待つ。行政パートナーは、
立ちっぱなし。自分から駆け寄り来訪者を案内した。1人は帝国ホテル
などに50年以上勤めた筋金入りの元ホテルマン。「役所もホテルも接客の
基本は全く同じ。職員にお手本を見せたい」。あちこちにスローガンが
張ってあった。
「日本一親切、丁寧な市役所を目指します」
行政パートナー誕生の背景には、厳しい財政難がある。新規採用を20年間凍結、
職員は半分にする。退職者の穴は、時給700円のパートナーで埋める。
パートナーに職員の命令権はない。対等に話し合う。民間で出来ることは民間に。
凍結で浮く67億円の人件費は,事業に回す。
行政は全て公務員が行う、との“神話”の崩壊だ。
独占にアグラをかいている市役所に競争相手の第2市役所を作った。
ボランティアで組織した市民委員会で全員、公募した。市民の立場で
無駄をチェック、政策提言もする。最初は250人、平日夜などに会議を続けた。
市、議会とともに全国で初めて予算も編成、市民の視線で大幅な削減を実現した。
強烈な競争相手にやる気が職員に出た。
25人学級も日本で初めて実施した。県の教育委員会は当初、反対だった。
今は全国的に、その方向に向かう。不登校児を自宅で教えるホームスタディ制度、
自然再生条例、公共事業市民選択権保有条例…。日本初のオンパレード。
昨年は3000人以上が視察に押しかけた。自治大学校の教材にも取り上げられた。
勇退後、NPO地方自立政策研究所を立ち上げ、理事長として各地を飛び
回っている。日本中にネットワークを構築、悲願の「地方からの改革」に挑む。
津々浦々から講演依頼が相次ぐ。たった1度の人生舞台、本番は続く。
|