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メルヘンの世界へ誘われた。

一瞬、そんな錯覚におちいった。

 

うす紫のフジの花が雲のように広がる。

あま〜い香が風に運ばれてくる。

高貴な花たちが、すだれのように舞う。

彼方には、緑の吾妻の山々が光る。

 

今、フジの花の雲の上を飛んでいる!

 

花の里・福島でフジの花園を5月17日に訪れた時の印象です。

福島市の西の郊外、上野寺祭田地区で果樹・稲作農業を

営む農家が開放していました。

 

フジの花園は150坪もの広さでした。素晴らしいフジを

各地で楽しんでいますが、この広さにまず、圧倒されました。

圧巻でもあります。

 

フジの花は下、横から眺めるのが普通です。

 

“常識を覆し”、フジの上から見てみました。

近くに積んである石の上にのぼりました。

一瞬のメルヘンの世界が現れました。

 

フジの花々のシャワーでした。

その下には手作りの長いすが、幾つかあります。

長いすには、お湯の入った6本のポットとお茶のみ茶碗が

あります。白い布がかけられ、清潔感が漂います。

 

どなたでも、自由に、お茶を味わえます。

 

フジの花の精に抱かれながら飲むお茶。

あま〜い香に包まれます。

 

至福の時でした。

 

満開の16日は午前5時ごろから見物客が

押しかけました。6本のポットはフル回転。

何度も、何度もお湯をいれました。

 

時、あたかも田植えの繁忙期でした。

果樹・稲作の女主人はてんてこ舞いでした。

 

感動をいただいた見物客は、お金で感謝の気持ちをー。

そんな人も少なくありません。

 

女主人は言います。

 

「花の下で、お金の話をするなんて、悲しいことでは

ないでしょうか。花に失礼です」

 

「花の美しさを、お金に換算出来ますか。私には

出来ません。ですから一銭もいただきません」

 

「帰り際に、客から、本当にありがとうございますと

感謝されます。百姓屋のバーちゃんが、毎日、何十人、

何百人に感謝されます。こんなうれしいこと、素晴らしいことが

ありますか。それだけで十分です。本当は、私ではなく、

フジの花に言ってもらえれば、それでいいのですが…」

 

やはり、ここはメルヘンの世界だったのだろうか!?