脳内にも寒波襲来 (12/28)
いつもは、ジッちゃん、バッちゃん連がチェックインを待って屯するフロントが、チビッコたちにジャックされちまっている。
大きなザックが所狭しと放り出されていて、足の踏み場がねぇ。大混雑に何が起こってるのか、呆然と眺めていると、雷さんの、
「スキーキャンプに行くってぇこった」
不愉快そうに突き放した解説で、一応混乱現場の掌握が出来た。が、チーバッちゃんがやってきて局面は一変しちまった。
「どうしちゃったのさ。この人の多さは」
の、金切り声に雷さんが本性を剥き出し、
「奥にスペースがあるのに誘導しねぇ。ったく、なっちゃねぇんだよ。ここは」
ピカピカッと光ったと同時に大落雷。だが、
「朝は人手が足んないんだからさ、大声のあんたが交通整理をやりゃぁいいのよ」
ガツンとチーバッちゃんのカウンターパンチ。雷さんは、チーバッちゃんには分が悪りぃようだ。まさにちっこい避雷針といえるか。
「今日から子どもは冬休みだもん、年末年始の混雑を避けられ、いいんじゃないの」
と、追い討ちを掛けられ、天下無敵の大落雷は、2度と起こらねぇ。
前夜、練馬から水泳コーチを追っかけて通って来る母、小1の女の子と3歳児が、人情寿司に再び現れた。楽しい冬休みイブのよう。
「冬休みの特別教室が始まったので、これから毎日来るのよね」
の、母の説明を、カウンターにちょこんと座り、マグロの握り口に運びながら、おしゃまな小1はコクンと頷く。水泳のほかにもう1つお目当てが出来ちまったみてぇだ。
「み〜な〜さ〜ん〜お〜は〜よ〜。け〜さ〜は〜さ〜み〜ぃ〜ね〜」
寒さも手伝ってか、一段と縮緬ビブラートに磨きを掛け、傘寿を迎えたとんび爺が、肩をすぼめてロッカー室に入って来た。
「わ〜し〜ら〜四〜季〜や〜す〜み〜だ〜か〜ら〜の〜ん〜び〜り〜だ〜け〜ど〜」
どうやらチビ軍団に圧倒されたらしい。とんび爺は、ジム出勤を年末の28日まで、年初は8日からと決め、9日間を冬眠日にするという。年末年始のジム開館日は…と、予定表を確認すると、2日まで休みなしとなってた。さて、どうしたもんかと思案してたら、電器屋さんが寄ってきて、
「何にもする事がねぇので、来ようかなって思ってるんですよ。どうします?」
「どうしようか、出たとこ勝負ですね」
「ところでさ、この3、4日あんたの名前が思い浮かばず、苛々してたんですよ。やっとね。惚けが強烈になったんでしょうかね」
挨拶だけで会話を避けるような素振りが気になったが、原因がやっと分かった。電器屋さんの脳内を寒波が襲ったのかもしれねぇ。
年の瀬に朗報も。前回0の仮免先生の教室に5人の生徒が戻り、御名御璽は避けられた。