「解くための微分方程式と力学系」 連載予定表

 

「月刊 理系への数学」という雑誌で連載している「解くための微分方程式と力学系」の連載予定表です。

従来の微分方程式の教科書は、解の存在や一意性などの基礎定理にページ数を費やしすぎるため実際の方程式の解法にあまり多くを割いていないものや、あるいはほとんどを解法に費やしてはいるが(あまりに初学者向けすぎて)ごく簡単な方程式しか取り扱っていない本が多いように思う。いずれにせよ、微分方程式の解の様子を知りたい、という立場からは少し物足りない。そこで本連載では“微分方程式の解の振舞いを理解する”という立場を徹底的に貫く。前半では基礎的な微分方程式の解法を多くの例題を用いて解説し、後半では解けない微分方程式を理解する手段として近似解の構成法や周期軌道の存在を予言するための位相的アプローチなど、いわゆる力学系理論からの話題を多く提供する。

本記事は数名のモニター(学生)の方に原稿を見ていただき、貴重な意見をいただいております。

 

・第1回(2007/5月号) 1階の線形微分方程式

・第2回(2007/6月号) 2階の線形微分方程式(同次系)

・第3回(2007/7月号) 2階の線形微分方程式(非同次系)

・第4回(2007/8月号) 高階の線形微分方程式

・第5回(2007/9月号) 行列の指数関数

・第6回(2007/10月号) ベクトル値の線形微分方程式

・第7回(2007/11月号) 線形微分方程式の流れと不動点の分類

・第8回(2007/12月号) 非線形微分方程式の相図

物理で現れる様々な方程式の相図を観察することで、周期軌道の分岐、ホモクリニック軌道、カオスといった非線形方程式に特有の現象に慣れ親しむことを目標とします。

 

・第9回(2008/1月号) 非線形微分方程式の不動点の安定性

不動点の安定性を調べることは数学的にも応用上も一番重要な問題です。ここでは非線形微分方程式の双曲型不動点の安定性を判定するためのハートマン・グロブマンの定理を紹介します。またその準備として、“流れ”、およびその“位相共役”といった力学系理論における最も基本的な概念を導入します。

 

・第10回(2008/2月号) 安定多様体・不安定多様体とベクトル場の標準形

双曲型不動点の近傍には安定多様体・不安定多様体と呼ばれる言わば力学系の“骨組み”が存在することを示します。またベクトル場の標準形の理論を応用し、これら安定多様体・不安定多様体を近似的に構成する手法を紹介します。

 

・第11回(2008/3月号) くりこみ群の方法

双曲型でない不動点の安定性を調べることは一般には容易ではありません。ここでは非双曲型不動点の近傍での微分方程式の流れの様子を理解するための特異摂動法のうち、最も強力なものであるくりこみ群の方法を紹介し、これを用いて非線形方程式の近似解を構成したり周期軌道の分岐を証明したりします。

 

・第12回(2008/4月号) くりこみ群による中心多様体の近似理論

非双曲型不動点の安定性はその近傍に存在する中心多様体の中の流れにより決定されます。ここではくりこみ群の方法の応用として、中心多様体とその中の流れを近似的に構成する手法を紹介します。応用としてローレンツ方程式で起こるホップ分岐を示します。

 

・第13回(2008/5月号) 不動点と周期軌道の分岐

パラメータを含む微分方程式について、パラメータを徐々に変えていくと分岐と呼ばれる流れの位相的な変化が起きます。ここでは最も基本的な分岐として、不動点のサドル・ノード分岐やピッチフォーク分岐、周期軌道のホップ分岐などを紹介します。

 

・第14回(2008/6月号) ホモクリニック分岐とその他の様々な分岐

ホモクリニック分岐、ヘテロクリニック分岐やその他の様々なタイプの分岐を紹介します。起こり得る分岐のパターンを数多く知れば知るほど、微分方程式の流れを予測するために大きな力になります。

 

・第15回(2008/7月号) カオスとは何か

カオスが起こる典型的な例をいくつか紹介し、特に馬蹄(horse shoe) やホモクリニック点から誘導されるカオスについて詳しく解説します。 

 

 

 

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