真冬の夜に降り続ける粉雪は耳を澄まさなければ無音、闇の桎梏、睫毛が開かない程の過酷を楽しむ。やがて雪が解け凍った氷道の下から微かに水が流れる音が聞こえてくる、野山の花々が一斉に、狂ったように、色とりどりに咲き乱れる原始の森、冷たく深い透明な川がいつの間にか出現する。
水が乾き緑が映り込んだ川に入ると石斑魚(うぐい)や泥鰌(どじょう)や鰍(かじか)が体中に当たり、沢では古生代のアンモナイト、三葉虫、サメの歯の化石が浮き上がり転がっていた。突然の豪雨、雷が鳴り響き目の前に落ちる恐怖が去ると太古の森は真っ赤な紅葉に染まっていた。
深く心の中に刻まれた森羅万象と喜怒哀楽が詰まっている夕張岳の麓ではぐくまれ、あらゆる美の本質を嗅ぎ分ける感性が無意識のうちに磨かれて私の写真作品の芯になった。
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